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増え続ける大腸がん

 
大腸がんは日本人の消化器がんの中で、最も急増している恐ろしい病気です。
 
大腸がんの芽であるポリープのうちに、あるいは浅い早期がんのうちに切り取ってしまえば心配はないのですが、早期発見のために一般検診で多く行われている検便検査(便潜血検査)では、その信頼性に疑問を呈す声があがっています。
進行大腸がんの場合でも、その2割は陽性にでない場合があるのです。
内視鏡を使って検査をすれば、直接カメラで内部を観察できるので小さいポリープでも見つけやすく、また発見次第切除できるため、1回の検査で治療を終了することが可能です。
 


当院における2006年1月~2017年12月迄の
  大腸癌、直腸癌の統計

 これは、私どもの施設での2006年1月から2017年12月まで11年間の、大腸、直腸癌の統計です。
 
年齢別にみると、50代、60代に多いのですが、20歳代の方にも、3人いらっしゃった。しかも、2人とも進行がんでした。30代のかたも34人いらっしゃって、そのうち12人の方は、進行がんでした。
若い方の排便時出血の場合、医療サイドも軽く見てしまって、痔でしょう、様子をみましょう、という場合がこれまでは多かったわけですが、今後は年齢を問わず、検査をすべきと考えます。
ただ、全体で見ますと、1019人中378人は内視鏡で切除するという、簡単な治療法でおなかを切らずに、治っていますし、進行がんであっても、転移の無い段階で手術すれば、大腸がんの約85%、直腸がんの約80%は治りますので、治りやすいわけですから、何といっても早く見つけて、早く、治療することが大切です。
 
以上のことから、痔ということにして安易に考えるのは危ないし、以前から肛門の病気があって出血を繰り返している人は、変な意味で、出血に慣れてしまっていますので、体の悲鳴に気がつかず、手遅れになりかねない場合があります。
 
大切な家族のためにも、40歳を超えたら大腸内視鏡検査を定期的におこないましょう。
 
 
 


 安楽な大腸内視鏡検査

 
●15,000例の経験を持つ、
 内視鏡学会認定の医師が検査・治療を担当し、
 完全無痛の内視鏡検査につとめております。
 
 
大腸内視鏡って痛くて、つらいと聞きますが?
 
大腸の場合、鋭角に曲がるカーブが多い形状で、しかも腹壁に固定されている部分とそうでない部分があり、お腹の中で長いものがぶらぶらしている状況です。
そのため、カメラのついた管を無理に押して挿入すると、腸が極度に伸びた状態になり、痛みを伴います。
 
ぶらぶらして長い腸ほど、押すことによってどんどん伸びてしまうので検査が難しくなります。
また、曲がった部分を通過する時に、空気を注入し膨らませてしまうと、余計に挿入が困難となり、お腹がはって苦しくなります。
 
そこで、無送気軸保持短縮法という挿入方法が苦痛をなくします。
あわせて軽い鎮静剤を使用しますので、当院での検査を受けた方ほとんどの方は、気づいたら検査は終了している状態です。

 
 
●無送気軸保持短縮法って?
 
大腸を押して伸ばしてしまうのではなく、手前にたたみこむように縮めながら、カメラの管を挿入していく方法です。
  • 無送気
  • …挿入時空気を入れる必要はありません
  • 軸保持
  • …軸を保持しながらまっすぐに
  • 短縮
  • …腸を伸ばさず、短くたたみこむ方法です。

 
この方法で腸をたたみこむことによって、曲がっている部分でも軸を保ちながら直線距離でカメラの管を進めることが可能なため、痛みがありません。
 

  
●この方法は?
 
習得に時間がかかるため、病気の増加に医師の育成がまったく追いついていないのが現状です。
数多くの大腸内視鏡検査を研修できる医療施設は、日本でもあまりないのです。
確かに、100 例の経験しかない医師が挿入すれば、検査の終点である盲腸まで到達するのに30分はかかるでしょう。
しかし1,000 例から2,000 例の経験をもった医師であれば、5分程度で挿入は完了するでしょう。
ゴルフでいえば、プロゴルファーとはじめてラウンドする人ほど、テクニックに差がでてしまうのです。
  
 
●当院実績到達率: 99.8%
 
大腸大腸内視鏡検査で終点の盲腸まで大腸全域にわたり、内視鏡で確実に検査できた割合のこと。
検査する医師の大腸内視鏡検査における習熟度をあらわす、いわば成績表となるものです。
つまり、大腸の形状の個人差などで難易度の高い方の場合、大腸の途中でそれ以上挿入できず、奥まで観察できない場合があります。
こういった場合、透視検査を実施し確認することもありますが、検査できなかった大腸の奥の部分に、ガンが発見されたケースもあります。
 
ただし、何がなんでも100%を目指せばよいということではありません。
なぜなら、難易度が高い患者様の場合、到達率に固執し無理に挿入しようとすると、危険がともなうからです。
 



大腸内視鏡検査の、検査日の決定から検査終了までの流れをご説明します。
ここでの説明の項目は以下の通りです。

検査日の決定に際して
検査前日の準備
検査当日の準備
検査

 

  •       検査当日、薬剤使用の関係から、
  •       ご自身でお車を運転してご来院・ご帰宅されることは禁止させて
  •       いただいております。

 


検査日の決定に際して

 
検査日を決めていただく際に、ご留意いただく点をご説明いたします。
 
●その1 
  ~前日に飲み会や会合などはないですか?~
    食事制限可能な日をお選び下さい

  • 検査前日(便秘症の方は別途指示)は一日中、野菜や繊維質をぬいた食事となります。

 
●その2 
  ~検査日から1週間以内に飲酒、遠出、出張の予定はありませんか?~

  • 内視鏡検査の大きな利点は、検査と同時に治療まで終わらせることが可能な点です。
  • 今回の検査でポリープが発見された場合、同時治療をご希望の方は、以下の点にご留意下さい。
  • 今回の検査で大腸ポリープが発見された場合、今回の検査時に切除を希望される方は、処置後1週間は、腸管の安静をはかるための食事制限や、飲酒・遠出が制限されます。
  • また、切除にともなう合併症の危険性が高い場合は、1泊ないし必要に応じた日数の入院が必要になる場合があります。

 


 検査前日の準備

普段、便や便汁で満たされている大腸を検査するには、大腸の中を空っぽの状態にしなければなりません。
 
●準備1.検査前日は、野菜類をぬいた食事制限が必要です

  • ◆前日(便秘の強い方は前々日から)朝食~夕食は、野菜等をいっさい召し上がらないで下さい。
  • ※便秘が強い方は、必要に応じて検査食を召し上がっていただく場合もあります。
  • ◆夕食は夜9時までに終わらせて下さい。
  •  以降検査が終わるまで固形物は禁食になります。
  •   (飲水・お茶の制限はありません)

 
 
●準備2.検査前夜9時に、指示の下剤を飲みます

  • 翌朝、反応便があります。お腹が多少痛くなることがあります。

 
Q.食事制限の意義は?

  • あらかじめ検査日の便の量を減らし、下剤の効果を高めます。
  • 便は前日・前々日の食物によって決まります。
  • 便にならない食事をとりましょう。

  • だから検査の前は…

 


 
Q.検査前日の朝食~夕食に、食べても良い食品・わるい食品は?

検査前日に食べてはいけない食品
穀類 玄米・そば・菓子パン・ラーメン・スパゲッティ
いも類 さつまいも・こんにゃく
さかな類 いか・たこ・えび・貝類
豆類 とうふ以外すべて禁止
やさい・くだもの・海藻類・きのこ類 すべて禁止
乳製品 すべて禁止
その他 ごま・黒こしょう
   
◆腸内が白く濁るので、乳製品は禁止です
◆粒状の香辛料は×

検査前日に食べても良い食品
穀類 ごはん・食パン・冷麦・そうめん・素うどん・のりを巻かないおにぎり
いも類 じゃがいも・さといも・ながいも のみ
肉類 すべて可(つけあわせ野菜×、たれのごま×)
さかな類 魚類はすべて可(甲殻類は×)
豆類 とうふ のみ
たまご  
水分 水、お茶、紅茶

 


 

 検査当日の準備


    朝食は食べられません。    
    ◆指示された常用薬をお飲みください。
    ◆体調に変化があれば、ご連絡ください。


  • 検査当日、薬剤使用の関係から、
  • ご自身でお車を運転してご来院・ご帰宅されることは禁止させていただいております。

 
●準備1.腸洗浄液を飲みます
     こちらの動画をご覧下さい。
 
●準備2.トイレへ通います……便の回数・性状を確認ください

  • ◆通常、洗浄液の飲み終わりから1時間程度で便意がおさまってきます。
  •  それまでの平均排便回数は、5~10回です。
  • ◆便の性状

 

はじめの頃の便   検査可能な便
 
 
不透明で固形、残渣物がある   透明感があり、浮遊物・残渣物がない

 

 
●準備3.更衣・必要時浣腸

  • ◆洗浄液をご自宅でお飲みになった方は、この時点で御来院いただきます。

 

  • ◆便の回数・性状をおたずねします。検査可能な状態であるか判断いたします。
  • ◆検査着に更衣

検査


◆便がきれいになり、準備が整いましたら検査となります。
◆70歳以上の方には、安全のため点滴留置いたします。

●検査

  • ◆検査直前に注射を1本します。
  •  (軽い鎮静剤+腸の動きを鈍くする薬)
  • 横向きでおやすみします。
  • ぼーっとしているうちに、大腸の終点まで挿入完了です。
  • 引き抜きながら、病変の有無を観察していくのを、モニターで一緒に見ることも可能です。

 
●検査終了後

  • ◆鎮静剤等の薬剤を使用しますので、検査終了後30~40分程度、そのままお休みいただきます。
  • ◆検査の結果をご説明いたします。
  • ◆会計後ご帰宅となります。

 


  • 薬剤の効果は2~3時間持続する場合があります。
  • 検査当日中はふらつき、眠気、目がちかちかする等の症状にご注意下さい。
  • 検査当日、お車を運転してご帰宅されることは禁止させていただいております。


 

 

大腸内視鏡・胃内視鏡同時検査を受ける方へ

 
●単独の検査との相違点と流れ
 

    1. 通常どおりの大腸内視鏡検査の準備をおこないます。
    2. 2リットルの腸洗浄液を飲み終わりましたら、飲水禁止となります。
    3. 検査直前に、鼻またはのどの麻酔を注入します。
    4. 検査準備薬の注射をおこないます。
    5. まずは胃内視鏡検査を実施します。(所要時間5~10分)
    6. 患者様はお休みになられたまま、ベッドの向きを変えます。
    7. 引き続き、大腸内視鏡検査を実施します。
    8. 胃・大腸内視鏡両方の検査結果をご説明します。